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5thアベニューで行われた ゲイ・パレード

↑↓ウェディングドレスをまとった男性

 
横断幕には「IDENTITY HOUSE」
こんなコスチュ−ムも…
 
ゲイの彼らはとにかく陽気!
結婚した女性同士のカップル
 
59年連れ添ったという男性同士
 
「Love & Marriage 4 We 2」
沿道から声援を送る市民


          § ゲイの話 §

アメリカの、とあるテレビ番組にハマっている。

「Queer Eye for the Straight Guy」

「queer」という英単語には「奇妙な、風変わりな」という意味のほかに、俗語で「(男が)同性愛の、ホモの」という意味合いがあるらしい。よってその内容は、視聴者から募ったひとりのストレートの男性を、5人のゲイの男たちが変身させるという番組である。

5人のゲイの男たちはそれぞれが美容、ファッション、カルチャー、料理、インテリアのプロフェッショナルたちでFAB5と呼ばれ、自分たちの専門的な分野を指導しながらひとりの男を変えていく。

まず、脱いだものは脱ぎっぱなし、シーツや枕カバーなど洗ったこともないような、バスルームやトイレに至っては掃除をしたことがあるのかと疑いたくなるほど汚い男の部屋に、FAB5がなだれ込む。そして部屋中を引っかき回して不要物を捨て去る。壁紙を剥がし、カーテンを引きちぎり、インテリア担当が当主の好みを聞いたうえで部屋の改装にとりかかる。その間に、ファッションと美容担当の者が彼をショッピングに連れ出しておしゃれな服を買い込み、その後は美容院へ行ってヘアカットおよびヘアカラーで変身させるという段取りである。

毎回FAB5には使命がある。ある日の使命は「恋人にプロポーズするのにそのセッティングを手伝う」というものであった。

のび放題の長髪、手入れしてない髭面、一見山から出てきた雪男かと思わせるような風貌の男性が登場、FAB5の手によって変えられていく。最後には着ているものもユ○クロからHugo B○ss風へ、見た目はくたびれた稲○淳ニからすっきりとした平井堅のように大変身するのであるが、あまりの自身の変わりように自分でも驚きながら、FAB5に感謝の言葉を述べて涙する。

いよいよプロポーズの時間。

FAB5の料理担当に作り方を伝授してもらい、自ら調理したイタリアンディナーを堪能した後、彼女を中庭にしつらえたテーブルに誘う。もちろんテーブル上には花とキャンドルは欠かせない。彼女の好物のチョコレートは、これもまた料理担当が指導して小さな箱型に作られており、その中には婚約指輪が忍ばせてある。

カルチャー担当が選んだBGMが流れる中、食後のワインで乾杯。そしてチョコレートを食べようとした彼女が中の指輪に気付き驚いている目を見つめながら、すかさず彼はひざまずきプロポーズの言葉を口にする。『Will you marry me…?』(きゃぁ〜〜〜!)

別室では隠しカメラで映し出されるその様子を見守るFAB5たち。息を呑み手に汗握り、そして最後に彼女が瞳を潤ませて『Yes…』と答えた時には、5人の男たちは、ほとんど女学生のようにきゃぁきゃぁと抱き合って歓声を上げ、私はいもケンピの袋と猫を放り出して感涙の洟をかんだのでありました。

ニューヨークではこの番組、高視聴率を稼ぐ人気番組なのだが、何がその人気の秘密なのだろう。

登場するストレートの男たちは、大概がむさくるしくてちっとも男らしくない男である。自分が自分以外の人たちにどう見えているのかを全く構わない、かといって内面的な部分を充実させようとしているとも思えないストレートな男たちに比べて、ゲイの彼らは自己に対する美意識が強く、見た目はもちろんのこと、生活様式や自身の内面を高めることにまで気を遣っている。

カイアン、テッド、カーソン、ジェイ、トムという5人の男たち。彼らは誰も女装や化粧をしているわけではなく、皆がどこから見てもストレートの男たちと変わりはない。ひとりカーソンだけがいわゆるオネエ言葉を話し、他の4人はストレートの男より男らしいと思うほどだ。なかでも私のお気に入りのカイアンは、美容関係担当だけあって見た目も清潔、身体も引き締まった美しい青年である。であるから番組を見るたびに、むさくるしいストレートの男が見違えるほどスマートに変身していく様子はそっちのけで、このゲイの男たちのカッコよさにうっとりと見惚れてしまう。

ヘアスタイルや肌の手入れも行き届き、服装も清潔でファッショナブル、インテリアデザインも自ら手がけた快適な美しい空間に暮らし、料理もレストランのシェフ顔負けの腕を見せ、身のこなしや話す内容も洗練されている――なんていうゲイの男たち。そんな彼らが女を相手にしないなんて『もったいなぁ〜』と思っている女性は、きっと巷のアメリカ人女性の中にもたくさんいると確信する。

日本の戦後において、『女と靴下は強くなった』と言われたそうだ。そう言った人たちは何をもって女が強くなったと感じたのだろう。家の中でじっとしていた女たちが外へ出て声を上げるようになったからか?現代社会において、ゲイの彼らのほうがストレートの男たちよりよっぽど男らしいと感じる昨今、果たして「男らしさ」「女らしさ」とは一体何なのだろうと考え込んでしまった。

高視聴率をマークするこのテレビ番組が象徴するように、アメリカ社会においてゲイの人たちがカミングアウト出来る状況は拡大しつつある。2000年の国勢調査ではアメリカ全州で60万世帯のゲイファミリーがあると報告された。しかしこれはゲイの人たちの中でもそれを公にしている人たちだけで、しかもこれは「世帯」数であるから、実際のゲイ人口となるとその数倍になるといわれる。

そんな彼らがここニューヨークでも、自分たちの存在を大きくアピールするために毎年ゲイ・パレ−ドなるものを行なっている。ある夏の日曜日、昼前から夕方までシンボルのレインボーカラーを掲げ、5番街をパレードしながらビラやキャンディを配り、彼らの法律に裏打ちされた市民権獲得を訴える。女性同士、男性同士のカップルが誇らしげに沿道に手を振って観衆の声援を受ける。

「59年連れ添って、やっと結婚が認められました」というポスターを掲げ、オープンカーに乗りながら寄り添う男性老人同士のカップルが現れると、沿道の観衆からは一際大きな拍手声援が起こっていた。

ここ数年来、アメリカのあちらこちらで同性間の結婚を認めるように求めた運動が起こっているが、それを法律で認めているのはまだバーモント州とマサチューセッツ州だけである。同性間の結婚許可証を発行していたサンフランシスコ市カリフォルニア州最高裁によってその同性間結婚の認定について停止命令を受けた。今年2月にはブッシュ大統領が聖書を持ち出して同性間の結婚を否定したし、ゲイの人たちが法律に守られた安寧を得るにはまだまだ時間がかかりそうである。

日本にいた頃、みのも○たがやっていた「クイズ・ミリオネアー」という番組があった。その元になった番組をアメリカで見たのだが、司会役のおっさんの横柄な口の利き方までみの○んたそっくりであった。アメリカで視聴率が稼げる番組が日本でもうけるとしたら、もしやどこかのテレビ局がこの「Queer Eye for the Straight Guy」を真似た番組をすでに企画しているかもしれない。

この美しいFAB5に代わる日本のゲイの男たちは果たして誰か?おす○とピー○、平幹○郎に美川憲○…と4人まで思い浮かべて、後は考えるのをやめた。

 

「Queer Eye for the Straight Guy」のウェブサイトはこちら

 

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