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これがMRI装置
SIGNA Advantage(GE社製)

市立芦屋病院の事務長さんに
快く写真撮影の許可を頂きました

ありがとうございました

ハーゲンダッツのクリスピーサンド
抹茶に黒蜜、 これはお薦め!

 

 

 


        
        
          § MRI 検査 §


アメリカは医療費がべらぼうに高い。それを補填する保険というものも非常に高い。だから現地のアメリカ人さえ保険に加入していない人たちも結構いる。

保険がないのに救急で病院へ行こうものなら、CT検査と薬の処方で40万円なんていう法外な医療費を請求されることもある。しかもキャッシュで支払えば半額になるなどという、一体全体どんなシステムかと疑いたくなるような医療体制であるので、保険に加入していない者は病院へ行かずに市販の薬で治してしまう人も少なくない。

そんな訳でアメリカの市販の薬はよく効く。いや、市販の薬がよく効くから保険加入者が少ないのか、その辺りのことはよく解からぬが、とにかくスーパーには処方箋なしで買える、ありとあらゆる種類の強力な薬が販売されている。

因みに、日本でも人気の発毛促進剤の「リアップ」は、アメリカの同製品「ロゲイン」のほうがその成分が濃くてよく効くらしい。とは、継続使用者である某氏の言であるが、著しい効果があるとは彼の頭頂部を見る限り思えない。

胃の不調を訴えて訪れた病院で、自分の症状がうまく英語で伝えられなかった為に「努力」を強いられたという身の上ゆえ(この悲惨な顛末についてはNY便り#034「ニューヨークの歯医者さん」を是非ご覧ください)、保険には加入していたもののなるべく病院へは行かなかった。だから長い間健康診断をしていなかった。元来薬を飲むのが嫌いな性質であり、自然治癒力というのを信じてもいるから、どうしても我慢ならない時にだけ強力なアメリカの市販薬のお世話になりながら、なんとか足掛け5年のアメリカ生活を乗り切った。

しかし昨年帰国してからは、「病院へは行けない」という危機感から開放され、「いつでも行ける」という安心感の為か反って医療機関から遠ざかっていたUrong>というのを信じてもいるから、どうしても我慢ならない時にだけ強力なアメリカの市販薬のお世話になりながら、なんとか足掛け5年のアメリカ生活を乗り切った。

しかし昨年帰国してからは、「病院へは行けない」という危機感から開放され、「いつでも行ける」という安心感の為か反って医療機関から遠ざかっていたような気がする。帰国後のタガが外れた暴飲暴食、体重計に乗るのが恐ろしいのと同様、怖くて健康診断に行けなかったのである。

ところが最近そうも言っていられない事態が起きた。打ち続く熱帯夜、ある夜中に寝苦しさで目が覚めた。胸のあたりがなんとも不快なのだ。暑さのせいばかりではないようだ。痛いのでもない。苦しいというのでもない。酷い肩こりで背中と心臓のあたりがだるい。そう、妙な言い様だが「心臓がだるい」というのがいちばん近い表現のような気がした。転々と寝返りを打ちながら、自分で自分の肩を叩いたり揉んだり、そうするうちにいつしかまた眠りに戻っていた。

朝目覚めてから、昨夜のことを考えた。「心筋梗塞には必ず前触れがある」と聞く。いつだったかテレビの健康番組でそのようなことを言っていたような気がする。

「おもいっきりテレビ」は時々、面白半分に観ていた。イソフラボンを求めて豆腐を食し、ポリフェノールを求めてワインを飲み、そしてコンドロイチンを求めてフカひれスープなんぞをすすっていたら、愛知まで行かんでも自前で万国博覧会やんけえ――てな悪態を、不健康そうに黒光りする司会者に向かって投げつけていたのだが、その日ばかりはそんな微かな記憶が呼び起こされてストンと腑に落ちてしまうほど、それほど昨夜の出来事は尋常ではなかった。

で、病院へ行った。過日、息子が盲腸炎騒ぎで救急に駆け込んだ時の対応がすこぶるよかったので、迷わず市立芦屋病院を選んだ。内科の窓口へ行き、これこれしかじかと症状を訴えたら、それなら循環器科の医師を受診するのがよいでしょうとアドバイスを戴いた。医師に症状を説明する際、時々気になっていた動悸や耳鳴りのことを訴えると、心臓の検査と共に、いちど脳の検査をしてみましょうということになった。そしてMRI検査ということに相成ったのである。

MRI(Magnetic Resonance Imaging)、磁気共鳴画像診断である。なんでも、もともと体内でバラバラの方向を向いている水素原子核磁場をあて、一定方向に向いたものに電波を送ると、水素原子核は一斉にある特定の方向を向くのだそうだ。これを磁気共鳴現象と呼ぶそうで、その電波を切った時に元に戻ろうとする水素原子核の緩急によって疾患の状態が判るという。

ひとつ心配なことがあった。実は閉所恐怖症である。放射線を使わないのでMRIは人体に対して無侵襲かつ無障害な優れた検査方法であるということは知っていたが、その形態は狭い筒状の装置の中に押し込まれるのだと聞いた。しかも耳元では大きな音が絶え間なく続いており、さながら工事現場の土管の中に打ち捨てられたごとくだという。

物心ついたときには暗闇が怖かった。小さい頃よく、父にふざけて布団蒸しにされたが、そんな時は本当に息が出来なくなって全身全霊で泣き叫んだ。母の話によると、私を出産した時かなりな難産で、出てきた時には仮死状態でしばらくは産声も上げなかったらしい。どうやらその時の体験が意識下に刷り込まれているようで、いまだに暗いトンネルの中に入ると車を運転していても緊張する。

さてMRI検査室。担当の看護師さんから丁寧な説明を受ける。心配なことはないかと聞かれ閉所恐怖症だと訴えると、「息苦しくなったり我慢できなくなったら、いつでも検査を中止して出してあげるから大丈夫ですよ」と言われて、少し気が楽になる。耳栓をしてベッドに横たわり、快適に空調の効いた部屋ですっぽりとタオルケットにくるまれる。体も頭もベルトで固定されて、ボタンひとつで筒状の装置の中に送り込まれた。緊張のあまり饒舌になった私を気遣って、看護師さんは検査が始まる直前まで足元に手を触れて付いていてくださった。

技師の説明どおり耳元で大きな音が鳴り始めた。トン、トン、トントントントン…、ダダダダダダダダ…。分厚いコンクリートの壁を打ち砕くような音が続く。筒状の装置の中、見上げる部分にプリズム鏡が設置されており、それを通して足元の開口部から外の景色が見えるから全くの閉塞感というものを感じずに済んだ。絶え間なく聞こえる音にもだんだん慣れ、規則正しく続く衝撃音に、「これは4ビートね、お、いきなり16ビートとは激しい…」なんて思ってるうちにいつしか心地よい眠りに吸い込まれていた。かくして40分ほどのMRI検査は無事修了。後日の検査結果では、頭の中はまったく異常なしということであった。

仮住まいの家からは徒歩3分の場所にこんな立派な市立病院があるというのに、食い気優先でレストランやカフェばかりを求めて芦屋の町をうろうろしていた。そのツケがまわったのか血液検査で「中性脂肪過多」と出た。おまけに安静時狭心症とかでニトロ持ちになってしまった。食べ過ぎ飲みすぎに気をつけて運動の量を増やし、これからは動脈硬化にならないよう気をつけねばならぬ。さてこの暑い最中、どうやって運動をするか、最近ハマっているハーゲンダッツのグリーンティー最中でも食べながら考えるとするか!








 

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