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☆カーソルを近づけると写真が替わります

車内はグリーンと金が基調のデザインで超豪華でした
☆ゆふいんの森T世号
名物プリンとアイスクリーム。どちらもとてもリッチな味わいでした

☆カフェテリアに続くサロンカー

江戸時代を思わせる豆田町の通り
☆鹿児島本線日田駅
客室へ続く廊下も純和風
☆黒川荘の玄関
 
前菜いろいろ
☆熊本名物馬刺しのカルパッチョ
 
こちらは観音露天風呂
☆黒川荘のびょうぶ岩露天風呂
 
きり石露天風呂
☆岩露天風呂

 


        
        
         § 九州旅行記 その壱 §


父と旅をした。

風呂事情に恵まれなかった海外生活を終え、夢にまで見た温泉である。日帰りで有馬の湯には浸かった。今度はゆっくり泊まりがけで―ということで九州を選んだ。折しも旅行社では九州キャンペーンが繰り広げられており、鉄道と組み合わせれば便利お得と謳ってある。もちろん費用は父持ちである。大学生二人を抱えて主婦の娯楽費など到底望めない。年金生活者のすねを齧って、『悪いわねえ…』といいながら、それならば旅館選びは私がと買って出た。

巷には旅へ誘う雑誌が氾濫する。美味しい料理を売りにするところ、豪華な露天風呂で惹きつける宿、そんな中で全室離れ屋という宿を見つけた。湯布院温泉「山荘 無量塔(むらた)」である。

なんでも明治時代の古い民家北陸地方から移築し、12ある部屋がどれも離れ屋のスタイルでリビング、和室、寝室を備えており、まるで街の喧騒から隔離された森の中に佇む一軒家にいるような居心地の良さであるというのだ。しかも各部屋にはかなり大きめの内風呂が設えてあり、滞在中は温泉が注がれ続けているという。

こういう旅館にいちど泊まってみたかったとスポンサーである父の意見も聞かず即決。折角九州まで行くのだからもうひとつどこかをということで、旅行社の方が黒川温泉を勧めてくださった。湯布院ほど観光地ではないけれど、山の中の鄙びた温泉が楽しめるという。宿もなかなか人気の黒川荘ということで予約を入れた。コースはまず黒川温泉から、そして湯布院へ周るということで決定。

さて、いよいよ出発の日。

朝も早よから新神戸駅で待ち合わせ。新幹線「のぞみ」で博多まで、そして「ゆふいんの森」3号に乗り換え昼前には鹿児島本線日田駅に到着した。

この「ゆふいんの森」3号、車両は「ゆふいんの森T世号」型式はキハ70系で運行されている。昨年春にリニューアルされたこの車両、グリーンのシートと天然木をふんだんに使った調度が美しい。カフェテリアのある車両も連結されており、その横のサロンカーでは天井まで広がる大きな窓から美しい景色が眺められた。旅先では美しい景色よりも食べ物優先の我が父、早速窓側を向いて座るシートに陣取り、「ゆふいんの森」号名物の「温泉たまご館プリン」「高千穂牧場アイスクリーム」に舌鼓を打った。

日田駅で下車し予約していたタクシーで黒川温泉へ。途中豆田町を観光した。

日田といえば江戸時代に幕府直轄の天領地として栄えた城下町である。今でも市街には江戸時代を思わせる古い町並みや土蔵、なまこ壁などが残っており「九州の小京都」と呼ばれているそうだ。

そんな日田市の一角、御用達商人の商家が集中していたという豆田町を散策。例によって父はお土産買いに奔走し、日田名物天領醤油を宅配便で送った。観光地図で見つけた「薫長酒造」を訪れ時間がないので資料館よりも試飲コーナーへ走る。こういうところは父と娘、「花より団子」でよく気が合う。

大吟醸から焼酎まであれこれ試飲してみると結構回る。ほろ酔いでタクシーに戻り居眠りしながら約1時間、いよいよ黒川温泉である。

黒川温泉のある南小国町という町、熊本県北東部の山間部に位置する。阿蘇外輪山、九重連山の標高430mから945mにありその中を大小7つの川が北へ流れ筑後川へと注ぐ。総面積115.86平方kmの85%が山林原野だそうで産業は観光と農林業、人口5000人という数字は明治31年と比べても大きな変化はない。ただ世帯数だけが900から1500と移っているので数字の上からも少子化高齢化社会の様子が窺える。

曲がりくねった山間の道を進み真っ直ぐ天に伸びた杉山を眺めながらいよいよ黒川荘に到着である。黒川温泉はその泉質、意匠の異なる各旅館の温泉を巡って楽しむ「露天風呂巡り」というのが名物だそうだ。しかし生憎黒川荘は温泉群の端に位置し、他の旅館の露天風呂を訪ねるには15分ほど山道を歩かねばならないらしい。で、ゆっくり黒川荘だけの温泉を楽しむことにした。

黒川荘だけでも、びょうぶ岩風呂、岩露天風呂、きり石露天風呂、観音露天風呂の4つの露天風呂がある。泉質はナトリウム塩化物・硫酸塩・炭酸水素塩泉で色は緑乳白色。湯温が高いので冷たい外気に触れてもうもうと湯気が立ち込めている。到着後早速デジカメ片手に露天風呂体験。湯気を気遣いながらいくつか写真を撮った後は手足をうーんと伸ばし遠い山を眺めながら露天風呂を満喫した。あぁ〜極楽、極楽!

ひとっ風呂浴びた後はいよいよ夕食である。次の間付の小奇麗な和室で次々に運ばれてくる料理を楽しむ。中でも熊本名物馬刺しのカルパッチョは絶品であった。

翌朝、日の出よりも早起きした父に起こされて朝風呂へ。昨夜とは男女の風呂が入れ替わっているのでこれで4つすべての露天風呂を体験できた。朝風呂のあとの朝食をきれいさっぱり平らげ11時チェックアウトで黒川温泉を後にする。旅先ではどうしてこんなに朝ごはんが美味しいのだろう。一瞬の躊躇のあと2膳目を装う時『ダ〜イエットは明日から〜』というメロディーが耳をよぎった。



 


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